再注目を浴びるサプライチェーンマネジメント(SCM)とは!?導入する4つのメリット
ワザモノ編集部
ここ数年ロジスティクスと呼ばれるマネジメントプロセス導入がすすみ、物流の効率化はある程度達成されてきました。しかしながら最近はネット通販の普及に伴い、B to Cを中心とした物流の需要が拡大し、人的・物的インフラ共にひっ迫しています。
そこで、さらなる効率化をめざすメソッドとして期待されているのが、サプライチェーンマネジメント(SCM)です。今回は、業界全体での効率化を目指すSCMのアウトラインや、導入のメリットにフォーカスを充てて解説します。
サプライチェーンマネジメント(SCM)とは
ロジスティクスはそもそも軍隊用語で、前線に必要な物資をスピーディーに届けるためのマネジメントプロセスです。企業活動においては、原材料調達・生産・販売・物流といった一連のプロセス最適化をめざします。
一方サプライチェーンマネジメントはロジスティクスと似ていますが、ロジスティクスが社内に閉じているのに対し、SCMは企業間の垣根を越えてサプライヤーやエンドユーザーまで取り込んだメソッドである点が大きく異なります。
サプライチェーンマネジメント導入の背景
もともと物流の役割は、注文された商品を発注先まで正確に届けることにあります。かつては、B to Bと呼ばれる企業間の大口取引がメインに位置付けられていたのです。マーケット面では作れば売れる時代が長く続き、大量生産・大量消費を是とするビジネスモデルに物流も組み込まれていたのです。
当時は、商品開発・原材料や部品調達・生産・販売といった機能別組織が部分最適で動いていました。一方で物流といえば物量にものを言わせた保管・輸送が中心で、きめ細かな管理にあまり重きをおいていませんでした。それでも、売り上げがぐんぐん伸びている時代は通用したのです。
ところが最近は多くの製造業が生産拠点を海外に移したため、B to Bの物流はシュリンク傾向にあり、一般消費者向けのB to Cにシフトしつつあります。マーケットも多品種少量消費へと移行し、大量輸送・大量保管を前提とした物流は機能不全に陥り、非効率さが看過できない状況に至りました。
そこで物流の効率化を進めようと、各企業では倉庫内自動化といったインフラ整備と同時に、ロジスティクスさらにはサプライチェーンマネジメント導入に舵を切ったのです。
サプライチェーンマネジメントの目的
サプライチェーンマネジメントの目的は、日々変化する需給動向やサプライヤーの調達能力などサプライチェーン各機能組織が抱える情報をリアルタイムにシェアし、サプライチェーン全体での最適化を図ることにあります。
サプライチェーンマネジメントが再注目されるその背景にあるもの
グローバル化
サプライヤーも生産拠点もパートナーもすべて国内という時代なら、多少マネジメントが適当でもビジネスモデルは回っていました。ところが、グローバル化が進むとそういう訳にはいきません。国内外にまたがるサプライチェーンを一元的なプロセスでマネジメントしていかなければ、熾烈を極める企業間競争に打ち勝つことはできません。
深刻化をたどる人材不足
少子高齢化の影響で、生産人口の供給は今後ますます先細ります。一方で、EC事業等の増加に伴いトラックドライバー需要は相変わらず増加傾向です。より効果的な物流システムの構築、具体的にはアジャイルな需給計画、無駄の排除、トラック手配の最適化などを実現しなければ、物流に未来はないのです。
流通市場の変化
現代の流通市場において、EC事業者に限らずBtoC事業者は、目まぐるしく変わる消費トレンドの中で、欠品と過剰在庫極小化に躍起です。だからこそ事業者は、物流と販売との一元管理強化を求めているのです。対応できない物流は、生き残れません。
サプライチェーンマネジメント導入の4つのメリット
在庫管理の最適化
さまざまなプロセスの中でも、在庫管理の最適化は特に多大なメリットを生みます。仕入から販売までといったサプライチェーン全体を繋ぐことにより、精度よく在庫を予測できるのです。結果として在庫回転率が向上、キャッシュフローが改善され、得意先やエンドユーザーの信頼獲得にもつながります。
情報の一元化
サプライチェーンマネジメント導入による情報の一元化は、属人的業務の排除につながり、適正な人材配置を促します。
経営課題へアジャイルに対応
サプライチェーンマネジメントは、プロセスからの情報を分析し、経営課題をリアルタイムに抽出することも可能です。結果としてマネジメント層による迅速な意思決定をサポートします。
コスト削減
サプライチェーンマネジメントは、各機能間のひずみやボトルネックを可視化し、最適化を図ることを通じ、コストカットを実現します。
サプライチェーンマネジメントの導入は、大企業とは限りません。中堅・中小企業にもひろがりつつあるのです。
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