物流担当者が理解しておくべき実在庫と理論在庫とは?違いや差異を起こさないための3つのこと

ワザモノ編集部

物流の現場において、「実在庫が理論在庫よりも多かった」もしくは「少なかった」というトラブルに直面している企業様や担当者も多いのではないでしょうか。今回はそんなトラブルを抑えるためにも知っておくべき、実在庫と理論在庫の違い、そして差異が起こりうる原因と対策について解説します。

 

理論在庫と実在庫はどう違う?

 

まずは、理論在庫と実在庫を正しく理解することが重要です。

 

理論在庫は数字上の在庫数

理論在庫とは、商品の入荷や保管、出荷時のデータで記録された在庫数のことを指します。つまり、帳簿に記された数字上の在庫数ともいえます。この理論在庫は、商品が売買されるなどして動くたびにデータとして登録されるため、数字の増減も大きくなります。

 

実在庫は実際の在庫数

理論在庫が帳簿に記された数字上の在庫数であるのに対し、実在庫は実際に倉庫内などで目視で数えた商品の在庫のことを指します。実在庫と理論在庫の数が合えば、問題なく倉庫内で在庫の管理が行われていることになりますが、差異が生じればその都度、どこに違いが生じる原因があるのかを調査する必要があります。

 

理論在庫と実在庫の差異が発生する要因はなにか

 

では、理論在庫と実在庫の差異が発生する要因はどこにあるのでしょうか。差異が発生しやすいといわれる5つの場面をご紹介します。

 

倉庫内作業時の紛失

たとえば試供品などで使われるシャンプーパウチのような小さな商品の場合、倉庫内での加工や流通の段階で、ベルトコンベアから落下するなどして紛失してしまうことがあります。

 

荷姿入り数の誤差

小さな商品の場合、段ボールやビニール袋といった荷姿内の規定された数量が、たとえば500個となっていても、実際には498個しか入っていなかったり、502個と多かったりするケースも少なくありません。こうした場合は過不足が生じることになります。

 

倉庫内受け渡し時のミス

入庫→流通加工→ピッキング→出庫といった各工程間の受け渡し時に、数量確認ミスが生じることがあります。

 

返品記帳時ミス

返品された商品には不良品・偏在品が混入していることが多く、また、荷姿や受け入れ時期がバラバラになるなどの要因が重なった場合も、在庫の記帳ミスが起こりやすいです。

 

盗難

換金性が高い商品の場合、盗難された可能性も捨てきれません。

 

理論在庫と実在庫の差異を起こさないための3つの予防策

実査の徹底

月末に全数のたな卸を徹底することで、たな卸の差異は極小化することができます。一方で全数たな卸を完全な実査をするならば、繁忙期の企業が多い月末に、1日中倉庫を止めなくてはならず、人手がかかってしまうなどの副作用も大きくなります。

 

とくに最近はネット通販事業が拡大しており、物流の取扱量も増加傾向にあるため、物流各社の人手不足は慢性化しており、実査の完全実施は大きな足かせとなります。

 

棚卸しの推進等による月末実査の簡便化

商品の中には、日々の動きがあるアイテムもあれば、1か月以上まったく動きのないアイテムもあります。工程間の受け払いや流通加工などの動きがあった日にだけ在庫を確認し、その後、動きがなければ月末の実査は行わないという方法もあります。日々棚卸しを実施することで、ミスをその場でつぶすことができるため、有効性が高くなります。

 

この他、段ボールや袋に残っている端数は、理論残として取り扱うことで認めてしまおうという考え方もあります。これは、段ボールに数百個入っている商品を数えるのはあまりにも大変な作業となってしまうからです。

 

会計士等との調整を行い実査の簡略化

決算などで監査の厳格さを重視する会計士は、完全な実査を求めてくるケースも多いです。このため、実査を簡略化するのであれば、会計士との調整は欠かせません。

 

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今回は理論在庫と実在庫の違い、そして差異が発生する要因などについて解説してきました。理論在庫と実在庫の差異は少なからず発生しうることではありますが、わずかな差異でも企業の現状を知ることや企業経営に大きく関わってくるものでもあります。

 

このため、差異を起こさない物流環境を作り上げることがとても重要なことといえます。

 

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もちろん倉庫実務だけでなく、棚卸し実査に係わる監査上の要件など、会計的な側面など幅広い知見を有しております。

 

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